猫の真菌(皮膚糸状菌症)についてブリーダーが解説します

梅雨から夏にかけては湿度が上がり、カビに悩まされる時期です。

しかし、カビに悩まされるのは人間だけではなくねこちゃんも同じなんです。

今回はカビによる猫ちゃんの病気、皮膚糸状菌症について解説します。

真菌(皮膚糸状菌症)ってどんな病気?

正式には皮膚糸状菌症と言いますが原因菌となる真菌の名で呼ばれることが多いです。

この真菌はカビの一種で、いたるところに存在しています。

通常は皮膚に免疫があるので真菌が付着しただけで感染は引き起こしませんが免疫がまだ出来上がっていない子猫や免疫が落ちてきている老猫、療養中のネコちゃんの場合は感染のリスクが高まります。

真菌が猫の皮膚に付着し、侵入することで皮膚の赤み、腫れ、炎症、脱毛などの症状をきたします。

放置するとどんどん広がる、うつる

この真菌の厄介なところは一度誰かが感染すると連鎖的に感染が拡大していくことです。

真菌に感染した部位はタンパク質が分解され、フケとなって毛が抜け落ちていきます。

この抜け落ちた毛が別の部位に付着するとそこも感染し毛が抜け落ちるという連鎖が生まれます。

また、他の猫がこれに触れたりするとその猫にも感染が広がっていくことになります。

先程、感染するのは子猫や老猫と言いましたが、それはあくまで自然に存在している真菌の話で、フケには大量の真菌が付着しているので強い感染力を持ちます。

そのため、一度真菌が出てしまうと対策しないとどんどん感染が広がっていってしまうのです。

人間にうつることは非常に稀

この真菌は人畜共通感染症なので人にうつることもあります。

ですがこれは非常に稀なことで、猫と同じく赤ちゃんや寝たきりの高齢者と言った免疫が著しく低い状態にある場合がほとんどです。

しかしながら、とんでもない多頭飼育などですでに感染を広げてしまっている状態では健康であっても感染のリスクが高まります。

真菌を出さないためにすべきこと

真菌は常在菌であり、特別な設備がない限り完全な滅菌は不可能です。

しかしながら劣悪な環境のキャッテリーでは発生頻度は高く、必要な清掃や消毒を怠ると発生確率が上がることは間違いありません。

対策し、予防することで発生頻度を下げることが出来ます。

除湿

真菌をはじめとするカビ類は高温多湿を好みます。エアコンで室温を適温に保つと同時に除湿機などで湿度を下げることが有効になります。

多くの真菌は湿度70%以上になると急速に成長速度を早めると言われているので湿度を70%以下に保つことが重要になります。

理想は除湿機を使って除湿することですが、それ以外にも換気扇を回す、窓を開けて換気をするだけでも湿度を下げることができます。

まずは湿度計で部屋の湿度がどのくらいになっているかを確認してみましょう。

清掃

真菌の感染を広げる大きな要因のひとつは感染した部位から抜け落ちた毛や皮質です。

これらには大量の真菌が付着しているため、これらに接触した箇所に感染が広がっていきます。

こまめに掃除することで、これらの原因物質を取り除くことで感染の広がりを予防できます。

殺菌・消毒

掃除に加え、殺菌・消毒が行えれば理想的です。

殺菌・消毒と言うとアルコールを想像する人も多いと思いますが実は真菌はアルコールに耐性があり、一般的な消毒液では殺菌に不十分だと言われています。

真菌には次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウムが有効と言われています。

身近なもので言うとキッチンハイターが有効です。

これを100倍に希釈して吹きかけることで殺菌・消毒をすることが出来ます。

ただし、これは強力な酸化剤であり、ネコちゃんや人にとっても有害です。希釈するときはもちろんのこと、使用する場合も近くにネコちゃんがいないことを確認した上で使用しましょう。

次亜塩素酸ナトリウムは時間とともに無害化するので吹きかけ直後などでなければ比較的安全です。

ただ希釈濃度には十分に注意しましょう。

高濃度であればあるほど殺菌効果は増しますが、その分取り扱いが難しくなるので十分な知識がない方は必ず100倍以上に希釈して使用してください。

感染が疑われる場合

真菌の最もわかりやすい症状は脱毛です。

特に白いカサカサっとしたフケを伴う脱毛は真菌が原因である可能性が高いです。

残念ながら真菌は自然治癒することはありませんので真菌が疑われる場合は病院に連れていきましょう。

感染している子は子猫であったり老猫だったりすると思いますのですぐに治療が開始できないかもしれませんが根気強く治療していくことで治すことが出来る病気です。頑張りましょう。

ブラックライトを使うことで簡単な真菌検査をすることが出来ます。

真菌によって分解されたタンパク質がこのように光ることがあるのでブラックライトで発光が認められれば真菌である可能性が高いです。

逆に光らなかったから真菌でないと判断するのは危険です。

ブラックライトで真菌が発光する確率は50%程度で精度が非常に低いからです。

確定的な診断を下すには毛の顕微鏡検査か菌の培養検査を行う必要があります。

治療には内服薬を用いるのが基本になります。

塗り薬やシャンプーなどもあるのですが真菌は皮膚の深部にまで侵入するので、表面だけを殺菌しても完治に至らないケースが多いからです。

ねこちゃんが弱っている場合などは使えないケースがあるので先生の説明をよく聞いて与えるようにしてください。

真菌の予防と治療のヒント

  • 真菌はカビが繁殖することによって引き起こされる病気
  • 毛がパラパラと抜け始めたら真菌を疑おう
  • 除湿・殺菌・消毒を心がけよう(キッチンハイターがおすすめ)
  • 感染が疑われたらまずは病院に行こう

真菌は命に関わるような病気ではありませんが放置するとどんどん感染箇所が広がっていきます。

いくら元気だとは言ってもハゲ散らかしたネコちゃんは可愛そうですよね。

まずは掃除の徹底、出来れば除湿も行ってしっかり真菌を予防していきましょう。

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