迎え入れたネコちゃんを「去勢させようか迷っています」と言った相談をたびたび受けます。
繁殖させる気はないし去勢したほうがいいんだろうけどなんだか可愛そう…そう考えてしまう優しい飼い主さんがちょくちょくいらっしゃいます。
でも可哀想じゃないんです!むしろ避妊・去勢をしないほうが可哀想なんです!
今回は避妊・去勢をするとネコちゃんたちにとってどれだけ幸せなのかを解説します。
避妊・去勢をするメリット
ネコちゃんの避妊・去勢を施すうえでの利点は数多く存在しますが大きく分けてその利点は次のように分類されます。
- 健康面の利点
- 行動面の利点
- 社会的・経済的利点
ひとつひとつ見ていきましょう
健康面の利点
ネコちゃんを避妊・去勢させることで健康面の利点が存在します。
- 発がんリスクの低下
- 感性症リスクの低下
- ストレスの低下
発がんリスクの低下
近年の飼育下における猫の寿命は飼育環境が昔と比べ大きく改善したことにより大きく伸びています。
そのため、人間と同じように最終的にがんになって死亡するネコちゃんが増えているのです。
体のどの部分ががんになるかはわかりませんが子宮や卵管などはがんになりやすい部位の筆頭です。
避妊手術によって取り除いておくことにより、これらの部位のがん化を防ぐことが出来るのです。
感染症リスクの低下
発情期にないメスの性器は外部からの細菌感染に非常に強いです。
しかし、発情期になるとオスを受け入れるため、外部からの細菌感染を容易にします。
また、発情期はホルモンバランスを崩しやすく、ストレスをためやすいです。
このストレスは免疫そのものを低下させるリスクとなり、これもまた細菌感染などのリスクを増加させることになります。
ストレスの低下
私達も失恋や叶わぬ恋は大きなストレスになりますよね。
ネコちゃんたちも同じ。発情には大きなストレスが伴います。
その願いを叶えてあげられればとても良いのですがほとんどの場合、その願いを叶えてあげることは出来ません。
また、一度妊娠、出産をしても数ヶ月でまた次の発情を迎えます。
パートナーを見つけたいけどお外に出られない、交尾したいけど出来ないと言ったストレスはネコちゃんにとってとてつもなく大きなものとなります。
行動面の利点
続いては行動面の利点です。
避妊・去勢を行わないと飼育する上で困るような行動が多々あり、避妊・去勢はこれら問題行動を予防することが出来ます。
- 攻撃性の低下
- マーキングの予防
- 脱走行動の減少
- 遠吠えの予防
攻撃性の低減
オスはオス同士の争いに勝つため、メスは子を守るため、野生の成猫はある程度の攻撃性を持っています。
これらは性器で作られるホルモンが関係しており、避妊・去勢を行うとこれら攻撃性が低減することがよくあります。
野生で生きていくためには外敵から我が身を子猫を守るため必要なものですが安全が確保された飼育下でこれら攻撃性はマイナスに働くことが多いです。
いつも甘えてくれる、穏やかな性格であってくれた方があなたも安心ではありませんか?
マーキングの予防
オス猫、たまにメス猫もですが成猫はマーキング行為を行うようになります。
特にオスは去勢しないと必発で起こる現象で、家のありとあらゆるものにおしっこを掛けて回るようになります。
臭いも強烈で頻繁に行うので家の清潔を維持することはある程度諦めなければなりません。
最初の発情を迎える前に去勢を済ますことでマーキング行動は起こさなくなるので、早めの去勢がおすすめです。
脱走行動の減少
発情して異性を求めるエネルギーは相当なものです。
避妊・去勢をしていないネコちゃんが発情すると、しばしば飼い主の目を盗み、異性を求めて脱走を試みることがあります。
心配で慌てふためくあなたですが愛猫は2,3日すると何事もなかったかのような顔でひょっこり帰ってきます。
胸をなでおろすあなたですが1ヶ月後、お腹が大きくなってきた愛猫の姿を見てまたあなたは慌てふためくことになるのです。
戻ってきてくれるだけでありがたい。
実はネコちゃんが交通事故で死んでしまうことはとてもよくあることです。
お外に出すメリットはないと以前解説しましたが、脱走を防止するためにも避妊・去勢は重要です。
遠吠えの予防
発情したメスやオスは相手を求めてしきりに大きな声で鳴いたりします。
今までに聞いたことがないような大声で鳴く子もいたりします。
通常、発情していない猫がこのような大きな声で鳴くと言ったことは身の危険が迫っている時を除いてないと言っていいでしょう。
近隣住民の配慮もありますし、なによりあなたも昼夜問わず鳴き続ける愛猫の声を聞かずに済みます。
社会的利点
避妊・去勢を施すことは飼い主だけでなく、社会にとっても利点があります。
- 野良猫増加の予防
- 保護施設の負担軽減
野良猫増加の予防
今はかなり減りましたが昔は野良猫に餌だけを与えると言った飼い方が主流でした。
これはつまり、十分な食料を与えつつ自由に繁殖させることを意味します。
猫は非常に繁殖力が強いので、このような食べるものに苦労しないような環境を提供すると爆発的に増えます。
この子達が大きくなるとゴミを荒らしたり、人の民家を荒らしたりと社会にとって問題行動を起こすようになります。
避妊・去勢は猫と人間が共生していくうえでとても重要なのです。
保護施設の負担軽減
日本には数多くの動物愛護団体が存在し、保護活動を行っています。
飼い主を失ったネコちゃんや野良猫などを保護し、次の飼い主さんが見つかるまで面倒を見てくれたりするところです。
しかし、これら団体のほとんどは寄付金などで運営されているケースが多く、十分な資金と人材を持っていないケースが多くあります。
当然キャパシティを超えるネコちゃんの受け入れは不可能で、そのような野良猫たちが増えれば彼らは保健所に送られ、殺処分を待つ身となってしまいます。
避妊・去勢を行うことはこういった団体の負担を軽減し、不幸なネコちゃんを減らすと同時に猫と人間が共生しやすい社会を作ることに貢献することになります。
避妊・去勢をするデメリット
ここまで避妊・去勢を行うメリットをお伝えしてきましたがデメリットも存在します。
すべてがすべていい事づくしではないのでリスクとデメリットもお伝えしておかなければなりません。
繁殖が出来ない
これは当然ですが避妊・去勢を施してしまったネコちゃんは生涯、繁殖することは出来ません。
最初は繁殖させる気にはなかったけど後になってやっぱり繁殖させたいと思っても再建手術を行うことは出来ません。
繁殖計画は避妊・去勢を行う前、子猫の段階でしっかりと建てておかねばなりません。
自然な体型や生態が損なわれる
人間も成長とともに、男性は男性らしい体つきに、女性は女性らしい体つきになっていきますがそれはネコちゃんも一緒です。
ホルモンの働きにより体型や性格はオスらしく、メスらしくなっていくのですが避妊・去勢を行うとこれらが損なわれることになります。
また、避妊・去勢をしたネコちゃんは太りやすくなることもあり、体型の維持が難しくなるケースもあります。
手術のリスク
医療技術の向上により、避妊・去勢手術は安全に行われることがほとんどです。
しかしながら100%ではなく、術中の突然死、術後の感染症などで死亡するリスクが僅かながら存在します。
特別な理由がない場合は避妊・去勢を行おう
ここまでがネコちゃんに避妊・去勢を行うメリット・デメリットです。
わずかながら避妊・去勢を行わないことでのメリットも存在しますが総合的に考えると避妊・去勢をしたほうがネコちゃんにとって圧倒的にメリットが多いのです。
将来繁殖を考えているといったような特殊な事情がない限りはしっかりと避妊・去勢を行い、ストレスフリーな人生を提供してあげましょう。
- 避妊・去勢はメリットがめちゃくちゃ多い!
- 避妊・去勢は将来の病気の予防になる!
- 避妊・去勢したほうが長生きする!